夏祭りや花火大会で
浴衣の帯にさしこまれた「うちわ」
浴衣には欠かせない定番のファッションアイテムです。
「うちわ」があるかないかでは、だいぶ雰囲気が違いますね。
また、「うちわ」で優雅にあおるその姿
には、日本の情緒を感じます。
ところで、「日本の3大うちわ」って
知っていますか?
- 千葉の「房州うちわ」
- 京都の「京うちわ」
- 香川の「丸亀うちわ」
と言われていて
日本の伝統工芸品としても指定されています。
そんな日本三大うちわの特徴や歴史について調べてみました。
房州うちわの特徴や歴史
日本三大うちわのひとつ「房州うちわ」
房州うちわは、竹の丸みをそのまま
活かした「丸い柄」が特徴です。
持つ部分が、竹の細い筒を使っているんですね。
また、48~64等分に割いた骨を糸で
編んで作られます。
丈夫で半円の格子模様の窓もひとつの特徴です。
関東地方でうちわ作りが始まったのは、18世紀の終わりごろ。
もともとは「江戸うちわ」の原材料の
「女竹(めだけ)」の生産地としてうちわの骨組み部分だけを作っていました。
20世紀に入ると、完成品も手掛けることに。
それが1923年の関東大震災によって
「江戸うちわ」を栄えていた町が焼かれ
房州に多くの問屋さんが移住してくることになります。
そうして、「江戸うちわ」の技術と製法は
房州に拠点を移して受け継がれることとなったのです。
うちわ作りは漁師町の婦女子や老人に
とって昼間のお仕事として手ごろな内職
だったことから、盛んになったと言われてます。
房州うちわは基本的に手作業で、細かい
工程作業は21か所もあり、一人でこれを
こなせる職人さんは、たった一人しかいません。
作っているところも、現在、5事業者しかいないそうです…。
千葉県の民芸店で購入できますが
そのほかにも職人の方が講師になって
「房州うちわ作り体験」が定期的に開催されています。
予約などは、各業者で受け付けています。
2時間で1500円~で、オリジナルのうちわが作れます。
京うちわの特徴や歴史
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— 京うちわ阿以波 (@kyouchiwa) 2017年4月1日
日本三大うちわのひとつ「京うちわ」
京うちわは「都うちわ」「御所うちわ」
とも呼ばれ、扇と柄が別々に作られているのが特徴です。
京うちわは、南北朝時代に渡来した
朝鮮うちわが起源とされています。
放射線状に細い骨の上に紙を貼ったものに
柄が後から取り付けられているのです。
竹骨は50~100本ほどの数があり
100本立てのは「百立て」と呼ばれ
もはや日用品ではなく、飾り物として使われています。
柄も竹だけではなく、木製のものや、
漆塗りの高級品まであります。
形も丸、角、長柄、羽子板型、扇型、
千鳥型、キャラクターものまでバリエーション豊富。
豪華で優美な柄を楽しみながら、
インテリアとしても・・ちょっとリッチなうちわです。
京うちわのお店ですと
「阿似波(あいば)」さんが有名な老舗ですね。
元禄2年(1689年)から作り続けてます。
扇面が「両透かし」という、扇の面に
透かし彫りをしたものは見事ですよ。
一つあるだけでも、なんだか涼しく感じるうちわです。
丸亀うちわの特徴や歴史
毎年恒例の「丸亀うちわ」を調達してきました。これからの暑さをしのぐためのエコアイテムです。https://t.co/6BXqLE6tEN #丸亀うちわ pic.twitter.com/jubrd3frSu
— 尾崎漢方薬局 (@kozaki53977207) 2016年5月13日
日本三大うちわのひとつ「丸亀うちわ」
丸亀うちわは、房州うちわと同じ竹製
ですが、薄くて平らな平柄が特徴です。
持つ部分が、平たいんです。(平たくないのもあります)
香川県の丸亀市で生産されている
「丸亀うちわ」は17世紀にはその原型がありました。
1600年に丸亀の旅僧が九州で1泊の
お礼にとうちわの作り方を伝授したのが始まりとされています。
その後、1633年に金刀比羅宮参拝の
土産物のうちわが当時のご住職によって考案され
「丸亀うちわ(男うちわ)」としてスタートしました。
金比羅参拝のお土産なので、朱色一色に
漢字で「金」と墨で書かれたうちわが元祖だったのです。
ご利益ありそうですね。
その後「江戸うちわ」の技術を
丸亀藩士が持ち帰り、内職にうちわ作りを奨励しました。
それが下級武士や町民に広がっていき、うちわ作りの基盤を築くことになりました。
竹は、愛媛県から、紙は高知県、糊は
徳島県から、と、材料の産地が近かった
ことも、名産として長く続けられた理由でしょうね。
その後、時代の波にもまれつつもその技術
は受け継がれ、工場での大量生産が可能になっていくと
日本のうちわの90%を占めるようになってきます。
ただ、こちらも生産されているうちわの
原材料が、ほぼ安価なプラスチック製となっているため
竹から作られる「松亀うちわ」の後継者不足が心配されています。
手作業では47工程もあるんですよ。
丸亀市には「うちわの港ミュージアム」
という博物館があります。
うちわの展示、文献、実演コーナーもあり
入場無料はです。
うちわ貼りの体験もできるんですよ(有料、要予約)
うちわの事ももっとよく知りたいなら、こちらへどうぞ
うちわの歴史
うちわの歴史は長く、古墳時代には
「さしば」という、うちわの原型が
中国から伝わったとされています。
飛鳥時代~鎌倉時代までは、貴族などが
威厳を表す器具として使われました。
素材も、絹や鳥の羽根などが使われ、豪華なものだったとか。
室町時代に竹と和紙を使った現在のうちわ
の原型となる、日本のうちわが登場します。
戦国時代には武家の間で漆塗りの皮、板や
鉄板などを使った「軍配うちわ」が戦いのなかで使用されました。
旗指物に、家紋が書かれた大型のうちわが使われたことも。
江戸時代になると、うちわに和歌や浮世絵
などをあしらうようになり、見て楽しむ
ものとしても親しまれるようになりました。
また、火おこしや虫追い、持っておしゃれ
の装いに使うなど、生活に溶け込んでいくようになります。
浮世絵で、うちわを持ってポーズを
決めている女性の絵は、定番ですよね。
たくさんの人が使うようになったため、量産が行われ、うちわの産地も定着しました。
明治時代に入ると、うちわにお店や商品
などの名前や絵を入れたものが配られるように。
今でも、夏にイベントなどでもらえますよね。
また、美しいうちわが作られ、アメリカなどに盛んに輸出されました。
エジソンが電球を発明する際に
輸出された、うちわの原料の竹を使ったのは有名ですよね。
昭和10年代には戦争が始まったため需要が
落ち込みましたが、昭和20年代後半からうちわの生産も復調していきます。
昭和40年代には生産性と低コストに
押されて、原材料が竹→プラスチック製が主流に。
扇風機やクーラーなどの普及に押されて
うちわの生産は減少気味ですが、今でも
うちわの風は涼を呼ぶものとして、日本人に愛されています。
まとめ
ご参考になりましたか?
手工芸を守る伝統的な「房州うちわ」
豪華でセンス抜群の「京うちわ」
日本のうちわを担う「丸亀うちわ」
「三大うちわ」それぞれに魅力があるんですね。
プラスチック製のうちわと
日本の竹で作られた歴史のあるうちわでは
気品の違いを感じますね。
「美しいうちわ」で、夏の暑さを優雅に払いましょう。
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